劉輝は物語の序盤では、良い王になってきたと持ち上げられていたのに、終盤で旺季が台頭してきたとたん、ダメ王扱いされるようになり、ちょっと不憫でした。
確かに劉輝は王になってから一年間、バカ殿だった。でも、小さい頃からいろいろあったし、一年くらい多目にみてあげて…と思ってしまう。そのあと心入れ換えたし。まあ、私は民草や臣下じゃないからいえるのですが。
しかし、そんな劉輝もいろんな人を取り込んで最終的には伝説の最上治の王になりました。
幼い頃、いじめられっ子だった劉輝がこんな風に素晴らしい王になるなんてすごいですよね。あらためて劉輝がどんな人か気になったので書いてみます。
劉輝の過去
先王戩華と第6妾妃の第6公子としてうまれる。跡目争いが激しい宮中で兄公子たちから虐待を受ける。
誰かが守ってくれるか?と思いきや、母親さえ劉輝に虐待、折檻のつらい日々。
そのせいで、公子なのに着物はボロボロ。表情はとぼしい。食事も満足に食べさせてもらえなかったため、栄養不足ぎみだった。かわいそう。
そんな扱いをされていたから、人の顔色をうかがう子供だった。旺季が劉輝の遊びの相手をしてやったときに、自分の好きな遊びをなかなか言わず、旺季になんの遊びがいいか様子をうかがっていたのを見て、せつないなぁと思いました。
幼少の頃の癒しは清苑公子(=静蘭)。が、清苑が流罪になってしまってからは優しくしてくれた邵可、宋将軍になつく。で、 彼らの知識、武術を習得。バカ殿のふりができるだけの力を獲得します。
強くなって、心を許せる人ができたものの過去のトラウマはひどく、一人で寝ることができなかった。(暗闇だと母親に閉じ込められたことを思い出す)
劉輝の性格
人たらしの才能ありすぎてこわい
劉輝本人に忠誠を誓う人はそんなに多くないように思えました。しかし、一度忠誠を誓ったものは本当にすべてを劉輝に差し出してつかえてしまうようです。骨の髄まで…。
その最たる人が、秀麗。残り一日となった命でさえすべて王の官吏として、劉輝のためにすごしました。そして、最終的には妃となり官吏をやめてしまいます。
悠瞬もそうでした。体悪くて死にそうなのに、城の中で最期まで生活してました。家族水入らずで過ごせず。
劉輝が相手に尽くすから、相手も劉輝に尽くす
こんなにみんなが劉輝に尽くしてしまうのは、相手がそこまでやるの!?って思うほどのことを劉輝がしてくれるからだと思います。
秀麗は国試女人受験を可能にしてもらったこと。悠舜は劉輝が王座より自分の命を優先してくれたこと。楸瑛は劉輝が王座を投げ出してまで連れ戻しに行くし。
そんな風にしてもらえたらやっぱりうれしいと思う。でも、劉輝のかわいそうな境遇というのが人の心にうったえるということもあるんだろうけど。(無意識だろうがちょっとずるい。)
最強の邵可一家を全て味方につける
人たらしを発揮している最たる例が邵可一家を全て味方につけている事。
楸瑛か絳攸が言っていましたが、邵可一家(邵可、秀麗、静蘭)が本気を出せば国を乗っ取れそうだと。そんな3人が忠誠を誓ってしまったのだからすごいです。劉輝自身が直接お願いしたわけじゃないのに。
邵可は紅家当主で弟の黎深に慕われていますし、藍家当主の三つ子にも慕われています。いずれも天才(変人?)の心をつかんでいます。秀麗は藍龍蓮に生涯の心の友と言われるくらい気に入られているし。邵可一家で藍家の双龍の心わしづかみ。
静蘭は公子だしね。本気だしたら王になれるようなお立場(絶対やらないけど)
粘り強い
兄の清苑公子が流罪となってからもひたすら戻ってくるのをかなり長い期間待ち続けました。王になったらさすがに普通はあきらめると思いきや、それすらも兄を呼び戻す手段にします。(バカ殿の振りをする⇒こんな奴ダメ⇒清苑公子を探せ の流れを期待)
秀麗のことも長く待ちました。妃にしたいのに、官吏にしてあげたあとに10年以上も妃になってくれることを待ち続けます。何度も何度もプロポーズを断られてもめげずに。ただしつこいだけではなく、秀麗の気持ちを大切にして無理強いを決してしないところも素敵だと思います。
旺季にたいしても粘り強いところを見せます。悠舜が死んだあとくらいに、劉輝は旺季に対して何度も会いたいと手紙を送っています。返事はもらえないのに、めげずに出し続けます。王座をあらそってガチンコ対決した相手であり、親子そろって嫌われているというのもわかっていてもめげないのです。すごい。
最後に
劉輝、やはりただ者ではないですね。最上治の王となるために、あの辛い過去が必要だったとは思いたくないですが、そんな経験をしたからこそ今の劉輝がある。その経験もひっくるめて劉輝なんですよね。
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